スパとウェルネスの定義

JSWTが提唱する

「スパの定義」
健康と美の維持・回復・増進を目的として、温浴・水浴をベースに、くつろぎと癒しの環境と様々な施術や療法などを総合的に提供する施設

「ウェルネスツーリズムの定義」
心身の健康と美の維持・回復・増進を目的とした旅行

ウェルネスツーリズムとは〜人々はなぜ旅をするのか〜

幾つもの研究機関がフィジカルにもメンタルにも旅はプラスの効果をもたらすと結論付けている。例えば、科学的に証明された旅がもたらす健康への5つの利点

1. 旅行は心臓病のリスクを減らす
Global Commission on Aging and Transamerica Center for Retirement Studies、U.S. Travel Association

2. 旅行はストレスを和らげる
International Journal of Environmental Research and Public Healthの共同研究

3. 旅行は身体活動を促進する
言わずもがな、結果として運動量が増加する

4. 旅行は創造性を高める
ノースウェスタン大学 アダム・ガリンスキー「多文化体験がアイデアの創造的な拡大を促進する」

5. 旅行はあなたを幸せにする
コーネル大学の研究

ウェルネスツーリズムは「心とからだを健康に導く」といえる。

旅そのものが無意識で健康に役立つなら、その健康を意識的に促進する目的のツーリズムが発生してくるのは自然の流れである。
当初はスパをコアにしたヘルスツーリズムが台頭していたが、そのうちメンタルヘルスも重要視されるようになり、『ウェルネスツーリズム』へと表現が変わってきた。
その目的のためには、必然的に種々の共通した条件が生ずることになる。

●ウェルネス・リゾートの環境条件
・より良い自然環境が求められる。
・清浄な空気と森・山・川・海・湖等のある場所や、自然界との触れ合いが可能な場所が望ましい。
・気候療法になる場所。(人により違う)

●ウェルネス・トラベラーを受け入れる施設条件
・エコロジーでサスティナブルなハードとオペレーションが志向されている。
・ウェルネスとはプライベートな事柄なので、プライベートが守りやすい規模。つまり、大きなサイズの宿は好まれない。
・ウェルネスデザイン(視覚デザイン)であること。
・大型でバブリーな宿は避けられる。
・整地をしないでリゾートが建てられるのが理想!

●ウェルネスプログラムとセラピスト、あるいはコーディネーター
・温泉・スパセラピー、ヨガ・タイチ、メディテーション、森林浴・ハイキング、その他遊びながらの運動セラピー、作業療法、等のいくつかが用意され、その地方の産業(農業、漁業、林業でも何でも)やその地のカルチャーや歴史などを楽しむプログラムなどを用意。
・パーソナルなプログラムの提供が出来るのであれば尚可。
・プログラムに合わせたよくトレーニングされたそれぞれのセラピスト、ヒーラー、ガイドの養成が必要になる。(個々のリゾートで難しい場合は、外湯的なウェルネスセンターの設立を検討)

●医食同源
医食同源の発想に基づき、地産地消の食品を用いたヘルシーでバランスの取れた食事の提供。自前のオーガニック農場を持つか、そのための契約農家を確保し、場合によってゲストもその作業に参加させる。

●ウェルネスツーリズムに参加する客層
・基本的に健康志向の人で自然療法・伝統療法に興味を持っている人
・環境問題意識があり、自然を楽しみたい、アウトドア志向の人
・異文化・食文化に興味を持っている人
・LOHAS志向、エコロジー&SDGs志向の人
よって、このマーケットに合致するマーケティングと現場でのオペレーションが必要。(ついでに、知的レベルは高く収入も中の上からが多い傾向、だからと言って高級志向ではない)

ウェルネスツーリズムは日本に何をもたらすか?

等々の諸条件を検討すると、日本では地方の小さな温泉旅館が理想的な環境になる。問題は、最低3泊をさせるプログラムの用意(そこに滞在する必要が生まれる)と、連泊客に対するサービスオペレーションを行う必要がある。また、スタッフのセラピスト、或いはガイドとしての確保・養成が求められる。これに関しては、地元のコミュニティーとの連携やウェルネスセンター的な何かの開設が検討される。
インバウンド客はウェルネス志向が強いので、地方の宿にとってはチャンス。日本のリゾートは週末型だが、インバウンドは平日型。地方にインバウンドが入ることで、温泉旅館は高い稼働率が可能になり、そのため、スタッフのフルタイム・常勤化で雇用の安定にも貢献できる。インバウンドは地方に分散され、地方経済が活性化し、オーバーツーリズムの解消になる。日本の鄙びた温泉文化(過疎化した)を世界に紹介することに繋がり、世界の温泉大国日本が、ウェルネスツーリズムの目的地として注目を浴びるようになる。